2024/02/18 03:34

さて、続きです。


単純に少し小さく成型した発泡ブランクをレジンで包むわけではありません。


バリクラフトの売りでもある強度を必要以上に担保する必要があるのです。


ですから、コアになる発泡ウレタンも発泡率が低い(硬い)ものを選定しています。


レジンに関しては、壁厚を部分によって変えながら補強、出来る限りリブも入れて補強します。


現行型はハンマーで叩いても弾力があり、割れないけど凹みます。


レジンコンポジットブランクは試作の壁厚が薄いものでもハンマーで10回くらい叩かないと割れません。


しかしながら、凹まない分割れてしまう可能性があります。


壁厚の薄いもの(1mmくらい)を鉄ハンマーで10回叩いて割れるくらいなので必要充分な強度だと考えます。


このブランクはウエイト位置の確認の為、ドリルで穴あけしてるから、余計に割れやすいです。


にしても、鉄ハンマーフルスイング10回ですw

ちなみに、現行型は何度叩いても割れた事がありません。


試作を繰り返して、アクション出しをするのにどれだけの壁厚を確保したかというと


更にスプーナーは壁厚約2mm

デカスプーナーは約3mm

ドンキーは約4mm


インジェクションのマグロ用で壁厚2mmくらいなんで、どう考えても必要充分を遥かに超えた強度になりそうです。


新製法の試作が順調なのも、比重の高いフローティング素材である現行型に使用中の軽量レジンでとことんルアーを作り込んで来たから、これだけの壁厚を確保してほぼ同じ重量に持っていけるのです。


新製法にする目的の中で飛距離アップとありましたが、なぜそうなるのかと言うと


背部の比重が軽いから


バリクラフトのルアーはフッキング率、強度、アクションの観点から、逆三角形やそれに近い形状のルアーになり、ベリーが細めになっています。


背部が軽過ぎると、ただ規則的に泳ぐルアーとなり、背部の比重がある程度ある事による変化に応じたスライドやチドリは起きにくいです。


ただ、そこは重心位置で調整します。


発泡ウレタンのコアにすることで、背部の比重は低く【軽く】なるので、アクションを殺さないでセンターよりの重心位置にする事で飛距離アップが出来ます。


ウエイトの位置や背中の壁厚で調整して、チドリを発生させるんですが、それでも背部がコアで軽くなってるので、レスポンスが上がりながらもチドる。


それでも破綻しないルアーが出来上がります。


絶対にインジェクションでは出来ないアクションを強度や製品安定性を担保した製法になるのです。

最後の狙いは表面高度が上がる分、塗膜を薄く出来る事。


現行型はかなりの塗膜厚です。


塗膜厚がある事でのデメリットもあります。


長く美しい状態をキープ出来るので良いですが、実際は下地(ブランク)の硬度が高い方が塗膜は剥がれ難いのです。


鱗やエラの凸凹を消さない方が実は塗膜強度も高い。


この製法の恩恵を一番に授かるのが


ドンキーです。

今のアクションも実績としてはあるんですが、もう少し【キレ】を出したいというか、レスポンスを上げたいとずっとやってきました。


ただ、現行型の樹脂では全く壊れる心配はないですが、比重調整が限界まで来ていて、開発が止まっていました。

このレジンコンポジットで【キレ】を携えて、満を持してリリースしたいと思います!


結局は


いつもですが、自分自身が納得して


【その時の最高のルアーを提供する】


それだけです。


で、インジェクションで出来る事や他社と似たようなモノは作る気はありません。


スプーナーが産まれて10年くらいが経ち、いよいよ最終形態へ。


いつもの事ですが、とことん掘り下げる性格なので時間は掛かるかも知れませんが、何とか新製法をモノにしたいと思います。